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ある静かな森の奥に、
一匹のオオカミが住んでいました。
オオカミは、散歩をしたり昼寝をしたり
毎日のんびり暮らしていました。
オオカミは、だいたいいつもひとりでしたが、
それが自分には合っているし、
川のほとりに住むカエルくん以外には
ほとんど友達もいませんでしたが、
それでかまわないと思っていました。
オオカミには考えることがたくさんあったし、
森の奥でも楽しみをみつけることができましたから。
けれど森の冬は、寒くて、暗くて、静かです。
世界中で自分だけが生きていて、
みんな寒くて死んでしまったのではないかと心配になります。
そんな時オオカミは「みんなーー元気ですかーーー!」
と叫んでみることがあります。
みんながその遠吠えにふるえ上がっているなんて
ぜんぜん知りませんでしたが。
それでもようやく長い冬が終わり、雪が溶けて花が咲き、
小鳥が鳴き、虫がもぞもぞ動き出すと、
オオカミは嬉しいような、
悲しいような不思議な気持ちになりました。
毎年、春が訪れたこの時期にオオカミは少しだけ、
ひとりぼっちが寂しいと思うことがあるのです。
今日はもう春だと思ったのに、花びらと一緒に雪が降ったので、
カエルくんが寒くてオオカミのうでの中でふるえていました!
だからオオカミは寂しくはなかったけれど、
カエルくんを起こすのが少し早かったかと申し訳なく思いました。
明日は暖かくなるといいね、と話しました。
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